………いつからこの景色はあったのか? ………いつまでこの景色は続くのか? 百年か、千年か、それとももっと昔からなのか?考える事に意味などなかった。 自分には永遠とも言える命がある、脅かす者などいない、そもそも「年」などと言う概念もない。 他の魔王達と同様、今更争う事も協力する事も飽きた。退屈と言う発想はなかったが何か珍しい事でも おきないかと思いながら変わらぬ景色を眺めるだけの日々が続いていた。 それは全くの偶然だった、気がついたのは幸運だったと言うべきだろう。 決して開くことのない扉からの干渉があり配下の者が数体強制的に転送されたのだ、下級である人間が 眷属達を強制的に転送するなどあり得ぬはずだった。 だがそれは実際に起きたこと、否定するほど無能でも多忙でもなかった。 開いた扉はすぐに閉じられた為それ以上の事は分からなかったが、それまで興味もなかった 人間に対して少々異なる感情が生まれている事に気がついた。 「人間も面白い事をするようになったものね……。」 次開くのはいつになるか、1年後か10年後か、それとも数百年先か? 別にどれだけ先でも構わない、人間は欲深いと言うことは知っている一度手にした力を それ以上使わないなどということがあるはずがない。 「いつでも構わないわ、次開いたときは少し遊ばせてもらおうかしら。」 数千年ぶりとなる新しい刺激に彼女の瞳には妖艶な明かりが灯っていた。